タイムシート:『オルゴール』(8)

#オリジナル タイムシート:『オルゴール』8 - 貴野 結のイラスト - pixiv

 このシーンは、実は未定の部分があります。

 レイアウト(レイアウト:オルゴール(8) - アニメーション原作者として (hatenablog.com))では葉の上を跳ねながら落ちていくシーンとなっていますが、タイムシートには葉の動画について記載していません。というのも、ガラス玉を跳ね返すアニメーションはBOOK化した葉を変形させて作ることにしているからです。

 動画で表現すると、視聴者にそのシーンの展開を予想させてしまい、数秒間もつまらない想いをさせてしまいます。そこで、BOOKを加工して動かすことで、逆に予想外の展開を見せるようにするのです。基本的に、「背景やBOOKは動かないもの」と視聴者は認識しているので、あえてそこをひっくり返して楽しませます。

タイムシート:オルゴール(7)

#オリジナル タイムシート:『オルゴール』7 - 貴野 結のイラスト - pixiv

 このシーンは、シーン3と同じ状況ですが、カメラワークの関係でガラス玉の動画に違いがあります。

 シーン5の絵コンテ(絵コンテ:オルゴール(3) - アニメーション原作者として (hatenablog.com))を見てもらえると分かりますが、ここでは階段をやや俯瞰して見せるようにしているので、ガラス玉が頂点まで跳ね上がるまでの間に割れる動画が限られてしまう状態になっています。ここに、さらに減速する瞬間の動画を入れるのならば、さらにじっくりと動かす様に作っていかなければいけません。

 そこで、跳ね上がりの勢いはそのままにして、頂点から落下する瞬間を細かく描くことで勢いの強弱を表現することにしました。落下までの動画数は跳ね上がり時よりも余裕があり、動画も細かく調整出来る。

 実験的なところではありますが、上手くいくと考えています。

タイムシート:オルゴール(6)

#オリジナル タイムシート:『オルゴール』6 - 貴野 結のイラスト - pixiv

 このシーンは、中割りの量が多くなっています。

 タイムシートにもある通り、合計で11秒という時間を使ってガラス玉を転がすアニメーションを流していくため、動画もゆっくりと手前に向かって来る様に見せていきます。

 このシーンは、中割りする枚数をしっかりと把握出来るようにする訓練も兼ねて作りました。動画としては飽きやすいものになってしまうかもしれませんが、実験的にも制作したいと思っています。

タイムシート:オルゴール(5)

#オリジナル タイムシート:『オルゴール』5 - 貴野 結のイラスト - pixiv

 

 このシーンは、ガラス玉が階段を跳ねながら降りる動画ですので、軌道上の頂点に近づく時と離れていく時に減速・加速を表現するように描きます。具体的には、頂点の原画の前後に割る動画を2コマ打ちにし、減速から加速するように見せます。

 また、着地時の跳ね上がりは勢いのある描写にするために、3コマ打ちのまま進行させます。

 BGMに合わせて跳ねていくようにするので、動画作成とコマ打ちの時に内容を変更するかもしれません。実は、「タイムシート:オルゴール(4)」の修正時に、使用するBGMを聞きながら直していったのですが、想像よりも原画の打ち方が不適切だったということが分かりました。

 今後、修正を入れたタイムシートは、その投稿ページに再度添付し直すようにします。

タイムシート:オルゴール(4)

#オリジナル タイムシート:『オルゴール』4(修正) - 貴野 結のイラスト - pixiv

 このシーンは、比較的凹凸の少ない道路をガラス玉が転がるというものなのですが、音楽に合わせて右へ左へと移動していきます。その際、次の原画にあたる動画はコマの間隔を狭めて減速と加速を表現します。

 降雨をA、Bと別けているのは、奥行きを表現するためです。Aは線で表現し、Bは雫を描いていきます。スライドで表現しても良いのですが、雨量のバランス調整を出来るだけ少なくしたいため、この様にしています。

 カメラについては、特に指示がありません。日常の一コマの様な印象を与えたいので、必要以上に目立つ表現はしないようにしています。

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2021年9月12日:タイムシート修正

タイムシート:オルゴール(3)

 タイムシートの制作を行いましたが、誤って動画枚数のチェックを忘れていたため、今回は制作中に気づいたことを記載します。

 本作では、イメージ通りにアニメーションを動かすことを目指しているため、動画の割振りや枚数をしっかりと把握出来るようにしています。1カットにどれだけのコマ数が必要なのか、どれだけの動画が必要なのか、それをどう充てていくのかを、あらかじめ決めておく。細かく調整が出来るおかげで、イメージと同じ動きを描けると感じられます。

 次週は、完成したタイムシートと共に、制作についての分析を記載します。

振返り:『白の仔』

 今回制作した『白の仔』の完成発表と同時に、制作中のことを振り返ってみます。

 この作品は、いかに素早くアニメーションを制作できるかを知るために作りました。去年制作した『生活支援アプリケーション「オレのヨメ」』は、勉強と実践を繰り返しながら、最終的に1年4か月で完成しました。

 結論として、あまりにも時間がかかり過ぎると知りました。


生活支援アプリケーション「オレのヨメ」

 私は表現のためにアニメーションという媒体を用いたいのに、これではいくら時間があっても足りない。そこで、前作よりも短く且つ簡潔に作ることを目標にし、どこまで表現できるのかを研究することにしました。

 初めに『白の仔』は無色の背景と登場人物で作ることを決め、多くの工程を省いてみました。これにより表現の自由度が最小限にまで狭められ、発想力をフルに使うことになりました。しかし、後半には夜空や水面の様な背景を入れてしまい、完全な無色とは言えないものになっていきました。

 ただ、夜空や水面は彩色する代わりに、編集や撮影の工程を省くことを意識して作りました。例えば、宙に浮かぶ色の玉はスライドで表現し、水面の反射は穴だらけの無地にグローを施し回転させる程度にしました。つまり、簡単な撮影で出来る細かい表現を作ったのです。

 振り返ると簡単すぎたのではと思ってしまいますが、それこそが今回の課題でした。目標を大きく持つことも大事ですが、逆に限界まで怠けるのはより難しいです。実験として制作したとはいえ、結局は拘りを捨てられず、余計な労力を支払う結果となりました。

 今後の課題とするならば、「拘る箇所をあらかじめ決めておく」といったところでしょう。本作で拘ってしまった所も、途中で入れたくなってしまったことが原因です。安定した制作をするためにも、絵コンテの時点で「これ以上は何もしない、絶対に!」と決めておくようにすべきでしょう。